科学的根拠について

このページでは、「うぇるびの森」のサイト内でご紹介している以下の技法に関する科学的根拠について、関連する文献をご紹介いたします。うぇるびの森は、これらの文献に基づき、科学的根拠のある内容を掲載しています。

マインドフルネス

マインドフルネスは、「今ここでの経験に、評価や判断を加えることなく、能動的に注意を向けること(Kabat-Zinn, 1990)」とされています。呼吸や、観察、瞑想の形でその状態にいる時間をつくり、その習慣を継続することによって抑うつや不安などの精神症状が改善することが知られています。痛みや身体症状、睡眠など、幅広く健康に良い影響があることがわかっています。

Kabat-Zinn, J. (1990). Full catastrophe living: Using the wisdom of your body and mind toface stress, pain and illness. New York: Dell Publishing.
Kabat-Zinn, J. (2003), Mindfulness-Based Interventions in Context: Past, Present, and Future. Clinical Psychology: Science and Practice, 10: 144-156.
Goyal M, Singh S, Sibinga EM, Gould NF, Rowland-Seymour A, Sharma R, Berger Z, Sleicher D, Maron DD, Shihab HM, Ranasinghe PD, Linn S, Saha S, Bass EB, Haythornthwaite JA. Meditation programs for psychological stress and well-being: a systematic review and meta-analysis. JAMA Intern Med. 2014 Mar;174(3):357-68. doi: 10.1001/jamainternmed.2013.13018.

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セルフコンパッション

自分自身への思いやり・慈悲の気持ちを向けることを通じて、自分自身でストレスを軽減させることができる手法です。自分を責める・自分に厳しくするのではなく、むしろ思いやりのある暖かい視線をおくることによって前向きな気持ちを育むことにつながります。

Rockliff H, Gilbert P, McEwan K, Lightman S, Glover, D. A pilot exploration of heart rate variability and salivary cortisol responses to compassion-focused imagery. Clinical Neuropsychiatry: Journal of Treatment Evaluation. 2008; 5: 132–139.
Pauley G, McPherson S. The experience and meaning of compassion and self-compassion for individuals with depression or anxiety. Psychol Psychother. 2010 Jun;83(Pt 2):129-43. doi: 10.1348/147608309X471000. Epub 2009 Sep 25.
Neff KD, Rude SS, Kirkpatrick KL. An examination of self-compassion in relation to positive psychological functioning and personality traits. J Res Pers. 2007; 41(4): 908-916.
Leary MR, Tate EB, Adams CE, Allen AB, Hancock J. Self-compassion and reactions to unpleasant self-relevant events: the implications of treating oneself kindly. J Pers Soc Psychol. 2007 May;92(5):887-904. doi: 10.1037/0022-3514.92.5.887.
Kotera Y, Van Gordon W. Effects of Self-Compassion Training on Work-Related Well-Being: A Systematic Review. Front Psychol. 2021 Apr 23;12:630798. doi: 10.3389/fpsyg.2021.630798. PMID: 33967896; PMCID: PMC8102699.

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行動活性化療法

行動活性化技法は、うつ病の改善やストレスの軽減のために用いられる代表的な心理療法の1つです。精神症状や生活の問題を悪化させている行動の代わりに、楽しさや達成感を感じられるような行動を増やすことで心の元気を回復します。最新の研究では、行動活性化療法はインターネットで提供される心理療法の中でうつ症状の改善に最も有効であったことが報告されています。

Beck AT. Cognitive therapy of depression. New York: Guilford Press, 1979.
Lewinsohn PM. The Coping with depression course: a psychoeducational intervention for unipolar depression. Eugene, OR: Castalia Pub. Co., 1984.
Ekers D, Webster L, Van Straten A, Cuijpers P, Richards D, Gilbody S. Behavioural activation for depression; an update of meta-analysis of effectiveness and sub group analysis. PLoS One. 2014 Jun 17;9(6):e100100. doi: 10.1371/journal.pone.0100100.
Furukawa, T. A., et al. (2021). “Dismantling, optimising, and personalising internet cognitive behavioural therapy for depression: a systematic review and component network meta-analysis using individual participant data.” The Lancet Psychiatry 8(6): 500-511.


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身体活動(運動)

身体活動(運動)は生活習慣病の予防など身体の健康面だけでなく、うつ病の治療や予防など精神面にも効果があることがわかっています。そのメカニズムのひとつとしては、ストレスを和らげ、快感をもたらすセロトニン・エンドルフィンなどの脳内物質の分泌が運動によって促されるためと考えられています。

Mammen G, Faulkner G. Physical activity and the prevention of depression: a systematic review of prospective studies. Am J Prev Med. 2013; 45: 649-657.
Rebar AL, Stanton R, Geard D, Short C, Duncan MJ, Vandelanotte C. A meta-meta-analysis of the effect of physical activity on depression and anxiety in non-clinical adult populations. Health Psychol Rev. 2015; 9: 366-378.

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睡眠の質改善

睡眠の質は様々な心身の健康と関連することが知られており、質の良い睡眠を取ることは仕事のパフォーマンスを高める上でもとても重要です。一時的な不眠や睡眠の質の低下の多くは環境調整と行動の工夫(部屋の明るさを調整する、就寝前のリラックスを行うなど)で改善しますが、不眠が続いたり睡眠の質がなかなか改善しない場合は、認知行動療法*に基づく対処をしたり、早めに専門医に相談することが有効です。
*認知行動療法とは、うつ病などのメンタルヘルス不調の治療や、ストレスへの対処力アップへの効果が科学的に示されている心理療法の1つで、考え方や行動の仕方を工夫することで自分の力でストレスや困りごとに対応できるようになることを目指します。

Okajima I, Komada Y, Inoue Y. A meta-analysis on the treatment effectiveness of cognitive behavioral therapy for primary insomnia. Sleep Biol Rhythms. 2011;9(1):24-34.
Ballesio A, Aquino M, Feige B, Johann AF, Kyle SD, Spiegelhalder K, et al. The effectiveness of behavioural and cognitive behavioural therapies for insomnia on depressive and fatigue symptoms: A systematic review and network meta-analysis. Sleep Med Rev. 2018;37:114-29.

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ジョブ・クラフティング

自分の仕事を、今よりもっとやりがいや楽しさを感じられるものに、従業員が与えられた裁量の範囲で、仕事のやり方や同僚とのかかわり方を工夫して変えていくことを「ジョブ・クラフティング」といい、仕事へのやりがいや充実感を高めるための方法として近年注目されています。これまでの研究では、ジョブ・クラフティングに取り組むことで、仕事のストレスが改善するだけでなく、仕事のパフォーマンスや満足感、いきいき感が向上することが報告されています。

Tims, Maria, & Bakker, Arnold B.. (2010). Job crafting: towards a new model of individual job redesign. SA Journal of Industrial Psychology, 36(2), 1-9.
Wrzesniewski A, Dutton JE. Crafting a job: Revisioning employees as active crafters of their work. Acad Manage Rev 2001; 26: 179-201

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キャリア心理学に基づくアプローチ

「キャリア」という言葉は、一般には経歴、履歴、専門職業、仕事などの意味で用いられますが、キャリア心理学では、「仕事以外の側面も含めた、生涯を通しての人の生き方そのもの」という広い意味で用いられます。キャリアについて考えるということは、生きる意味、働くことの意味、価値、人生における自分の役割と責任、使命などについて考えることであり、「どう生きるか」に大きな影響を与えます。キャリア心理学に基づくアプローチの方法を知ることは、人生においてより充実したキャリアを築くために役立ちます。

Super, D. E. (1992). Toward a comprehensive theory of career development. In D. H. Montross & C. J. Shinkman (Eds.), Career development: Theory and practice (pp. 35–64). Charles C Thomas, Publisher.


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認知再構成法

人は何かに困ったり問題を抱えている状況が長く続くと、自分でも気づかないうちに考え方の幅や視野が狭くなってしまい、物事の見方や考え方の柔軟性が低下してしまいます。考え方の柔軟性が低下すると、ゆううつ、不安、イライラにつながる考え方をしやすくなり、その結果さらに考え方の柔軟性が低下するという悪循環にはまってしまいます。認知再構成法は考え方の柔軟性を高めるために有効な方法で、先行研究ではゆううつや不安などの精神症状の改善に有効であると報告されています。

Beck, A.T., 1967. Depression: Clinical, Experimental, and Theoretical Aspects. Hoeber Medical Division, New York.
Beck, A.T., 1979. Cognitive Therapy of Depression. Guilford Press, New York.

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問題解決技法

問題解決技法は、問題を客観的・多面的に整理し、解決法を計画的に実行し、その結果を評価・再検討する、というプロセスに沿って構造的に問題解決に取り組むための方法です。認知行動療法のひとつの技法で、問題を整理し、解決策の立案と実行までを系統的に支援する手法です。これまでの研究で、問題解決技法はうつ病の症状改善に有効であることが報告されています。

D’Zurilla TJ, Goldfried MR. Problem solving and behavior modification. J Abnorm Psychol 1971;78:107–26.
Bell, A.C., D’Zurilla, T.J., 2009. Problem-solving therapy for depression: a metaanalysis. Clin. Psychol. Rev. 29, 348–353.


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アンガーマネジメント

アンガーマネジメントは、怒りの感情に適切に対処し、怒り任せの攻撃的な行動を自分でコントロールできるようになるための方法です。アンガーマネジメントを学ぶことで、怒りの感情に上手に付き合い、より適切な方法で怒りの感情に対処できるようになります。


Henwood, K. S., Chou, S., & Browne, K. D. (2015). A systematic review and meta-analysis on the effectiveness of CBT informed anger management. Aggression and violent behavior, 25, 280-292.

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アサーティブネス

アサーティブネスは、自分も相手も大切にして、自分の考えや気持ちを正直にその場にふさわしい形で伝えようとするコミュニケーションの仕方です。自分と相手がお互いに率直に話をすれば、自分の意見に相手が同意しないこともあるし、相手の意見にいつも賛同できるとは限らない、ということを理解した上で、歩み寄りの精神を持ってお互いを大切にしたコミュニケーションを心がけます。アサーティブネスの練習をすることで、人間関係のストレスを軽減したり、より良い関係を築くことにつながります。


Bower SA, Bower GH. Asserting yourself: a practical guide for positive change. Updated ed. Cambridge, MA: Da Capo Life Long, 2004.
Alberti RE, Emmons ML. Your perfect right: assertiveness and equality in your life and relationships. 8th edn. Atascadero, CA: Impact Publishers, 2001.


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アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)

ACTは心の柔軟性を高めることを目指す心理療法です。仕事での色々なストレス、悩み、困りごとに対して、逃げたり立ち向かったりするのではなく、そのまま受け止める方法を身につけて、仕事や生活をしていく上で「自分自身が大切にしたい価値」を再確認し、自分の価値を見失わずに日々大切にしていくための行動に取り組みます。これまでの研究では、ACTは抑うつ、不安、依存症、心身症状に効果があることが示されており、特に慢性疼痛に対しては鎮痛剤の使用よりも効果が期待できると報告されています。

Hayes, S. C., et al. (2013). “Acceptance and commitment therapy and contextual behavioral science: examining the progress of a distinctive model of behavioral and cognitive therapy.” Behav Ther 44(2): 180-198.
JG, A. T., et al. (2015). “A meta-analysis of the efficacy of acceptance and commitment therapy for clinically relevant mental and physical health problems.” Psychother Psychosom 84(1): 30-36.
Carville, S., et al. (2021). “Chronic pain (primary and secondary) in over 16s: summary of NICE guidance.” Bmj 373: n895.

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感謝法

ポジティブ心理学では感謝は「恩恵を享受したことに伴って生じるポジティブな感情」と定義され、感謝を高めるための手法を感謝法と呼びます。感謝を日常生活の中に取り入れる感謝法は、幸福感・ウェルビーイング・対人関係の質などを向上させることが知られています。

Ma LK, Tunney RJ, Ferguson E. Does gratitude enhance prosociality?: a meta-analytic review.
Psychol Bull. 2017; 143⑹ : 601–35. Available from: http://doi.apa.org/getdoi.cfm?doi=10.1037/bul0000103

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ポジティブ心理学に基づくアプローチ

ポジティブ心理学とは、個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する、近年注目されている心理学の一分野で、心理学の対象を精神症状や障害などのネガティブな領域から、幸福や満足感などポジティブな領域に拡大したものとして知られています。ポジティブ心理学に基づくアプローチは、精神症状の改善のみならず、ウェルビーイング(身体的・精神的および社会的に良好な状態)の向上に効果があることがわかっています。

Flourish: A New Understanding of Happiness and Wellbeing: The practical guide to using positive psychology to make you happier and healthier
Bolier L, Haverman M, Westerhof GJ, et al. Positive psychology interventions: a meta-analysis of randomized controlled studies. BMC Public Health 2013;13:119.
Sin NL, Lyubomirsky S. Enhancing well-being and alleviating depressive symptoms with positive psychology interventions: a practice-friendly meta-analysis. J Clin Psychol 2009;65:467–87
Sakuraya, A., et al. (2020). “What Kind of Intervention Is Effective for Improving Subjective Well-Being Among Workers? A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials.” Front Psychol 11: 528656.

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